ストレスに負けない~しなやかな心~森林浴によるフィトンチッドの効用

森林浴というと「癒し」、「マイナスイオン」など色々なワードを想像されると思います。

実は近年森林浴のリフレッシュ効果やリラックス効果が様々な健康効果をもたらすことが医学的にもわかってきており、その原因物質としてのフィトンチッドにも注目が集まるようになってきました。

自然界には私たちの健康や癒しに関わる様々な要素が存在しますが、その中でも特に注目されているのが「フィトンチッド」という物質で、その効果は驚くべきものです。

この記事では、フィトンチッドの基本的な概念から健康への影響までを詳しく探っていきます。フィトンチッドのパワーを活用して、自然からの癒しと健康を体感しましょう。

森林フリー画像 に対する画像結果

皆さんは「フィトンチッド」を聞いたことがありますか?

「フィトン」は植物という意味で、

「チッド」は殺す能力という意味です。

ここ数年、森林浴の成分としてリラックス効果で注目されているフィトンチッド。

目には見えない小さな物質ですが、フィトンチッドには生活に役立つ様々な効果が実証されてきています。

森の木から取れる成分であるフィトンチッド。フィトンチッドを取り入れることによる、身体に様々な良い影響も化学的にも実証され始めました。

  1. フィトンチッドが健康へ与える影響
  2. フィトンチッドとは
  3. 由来
  4. なぜ植物はフィトンチッドを出すのか?
    1. 植物自身が虫に食べられないようにする
    2. 他の植物との生長競争に勝つため
    3. 傷が付いたときに病害菌から身を守るため
  5. フィトンチッドが生活に与える影響
  6. 悪臭の軽減
    1. においが消える理由
    2. 森はにおわない
    3. 日常にも実は使われている
  7. 森林浴でストレスが減少
    1. 森林浴でストレスホルモンが減少
    2. 森林浴で心理的なリラックス効果
    3. 森林浴で血圧や脈拍数が減少
    4. 森林浴で交感神経活動が低下
  8. 森林浴により免疫力が上がる
    1. 森林浴により抗がんタンパク質が増加する
    2. 森林浴によりNK活性が増強する
  9. 空気をきれいにする効果
    1. 森の空気がすんでいる理由
    2. フィトンチッドが空気を綺麗にする理由
  10. 抗酸化効果
  11. フィトンチッドに健康効果がある理由
    1. 森林浴は三大健康浴と呼ばれるように!
  12. 身近でできるフィトンチッド体験方法
    1. 森林浴
    2. 観葉植物
    3. フィチントッドを含む製品を使用する
    4. 【森林浴とアロマテラピー】
    5. ヒノキ精油
      1. 心への効果
      2. 体への効果
    6. クスノキ精油
      1. 心への効果
      2. 体への効果
    7. ヒバ精油
      1. 心への効果
      2. 体への効果
    8. ハッカ精油
      1. 心への効果
      2. 体への効果
    9. オレンジ・スイート精油
      1. 心への効果
      2. 体への効果
  13. 4.オススメのブレンド
    1. バスタイムのおともに<ヒノキ+オレンジ・スイート>
    2. お部屋のイヤな香りを和らげるリードディフューザー<クスノキ+ユーカリ>
    3. 枕にシュッとスプレーしてリラックス!<ヒバ+ラベンダー>
    4. 気分転換できるルームスプレー<ハッカ+レモン>
  14. フィトンチッドを日常生活に取り入れる方法
    1. フィトンチッド入り製品を活用する
    2. 木材の家屋、家具を取り入れる
  15. フィトンチッドは化学物質
  16. まとめ

フィトンチッドが健康へ与える影響

森林浴によるフィトンチッド効果としては以下のようなものが知られています。

  • 森林浴でストレスホルモンが減少する
  • 森林浴で副交感神経活動が高まる
  • 森林浴で交感神経活動が抑制される
  • 森林浴で収縮期・拡張期血圧、脈拍数が低下する
  • 森林浴で心理的に緊張が緩和し活気が増す
  • 森林浴によりNK活性が高まり免疫能が上がる
  • 森林浴により抗がんタンパク質が増加する
  • 「緊張」「抑うつ」「怒り」「疲労」「混乱」などのストレス状態の改善
  • 「活気」「活力」の意欲、エネルギーの回復
  • 「身体の痛み」等の自覚症状の改善
  • 「全体的健康」「心の健康」等の気分の改善
  • 最高血圧・最低血圧の低下、脈拍の減少等の自律神経系の改善
  • 運動による体質改善とリハビリテーション効果

(独)森林総より

「緊張」「うつ」「活力の回復」など、現代病を緩和する成分、フィトンチッドは私たちにとても有効的な成分として昔から注目されてきました。


欧州諸国では「フィトンチッド」がもつ医学的な効果に古くから着目し、「森林セラピー」として行政や研究機関による協力体制が整えられています。

森林セラピーフリー画像 に対する画像結果


森林セラピー先進国であるドイツでは健康保険が適用されるほどです。近年では日本国内でもフィトンチッドがもたらすリラックス効果を活用し、病気の予防に役立てようとする研究がすすめられています。


ストレスの多い現代社会においては、今後ますますフィトンチッドへの関心が高まることは間違いありません。

この記事では「フィトンチッドが身体に与える影響」というテーマで”フィトンチッドを生活に取り入れることでどのようなメリットがあるのか”を解説していきたいと思います。

フィトンチッドとは

「フィトンチッド」は、なんとなく森林浴をしたときに

心地よくなる成分、アロマのようなものだと

思う方も多いかもしれません。

フィトンチッドとは何でしょうか?

フィトンチッドロシア語: фитонциды、英語: phytoncide)とは、微生物の活動を抑制する作用をもつ、樹木などが発散する化学物質です。

植物が傷つけられた際に放出し、殺菌、殺虫作用のある揮発性物質のことを指します。

森林浴はこれに接して健康を維持する方法ですが、健康だけでなく癒やし安らぎを与える効果もあります。

フィトンチッドはその殺菌性や森林の香りの成分であるということから良いイメージがあり、森林浴の効能を紹介する際に良く用いられています。

由来

1930年ごろロシアレニングラード大学ボリス・トーキン英語版ウクライナ語版)が、植物を傷つけるとその周囲にいる細菌などが死ぬ現象を発見しました。

ボリス・トーキンはこれを植物が周囲に何らかの揮発性物質を放出したためと考えて、この物質をフィトンチッドと命名しました。

フィトンチッドは「植物」を意味する「Phyto」と「殺す」を意味する「cide」から作られた造語です。

またマツヒノキといった針葉樹から発散されるフィトンチッドが、森林の中で人をリラックスさせる成分であることを明らかにしました。

なぜ植物はフィトンチッドを出すのか?

植物がフィトンチッドを出す理由は

植物自身が虫に食べられないようにする

他の植物との生長競争に勝つため

傷が付いたときに病害菌から身を守るため

と言われています。

フィトンチッドが生活に与える影響

フィトンチッドが生活に与える影響は大きく7つあります。

  1. 悪臭の軽減
  2. ストレスの軽減
  3. 森林浴で血圧や脈拍数が減少
  4. 森林浴により免疫力が上がる
  5. 森林浴で心理的なリラックス効果
  6. 空気をきれいにする効果
  7. 抗酸化効果

悪臭の軽減

フィトンチッドは生活臭特に、ペットの臭いや生ゴミの臭いに大きな消臭効果を発揮します。

林内には悪臭の原因となる動物の死骸や腐敗した植物などがたくさんあるにもかかわらず、さわやかな空気が広がっています。これはフィトンチッドのもつ消臭効果が発揮されているからです。

フィトンチッドの消臭作用は「分解中和消臭」と呼ばれる作用で、悪臭成分に付着し無害化、まったく別の成分に変えてしまいます。

においが消える理由

フィトンチッドは樹木が発する香り成分です。テルペン類と呼ばれる揮発成分を主とした数百種類もの物質の複合体で、これらの成分が悪臭の原因物質に複雑に作用し分解中和することで臭いが無くなる(=無害化)します。

私たち(生物)が「悪臭」と感じる臭い物質はほとんどが生物にとっての危険物質です。

危険であるから臭い(くさい)と感じるわけです。

森の樹木は、自らに危険を及ぼす物質から身を守るためにフィトンチッドを放出し悪臭物質を「無害化」し身を守っています。

フィトンチッドで悪臭が消えるのは、元々は樹木が自分の身を守るための「防衛行動」からくるものなのです。

森はにおわない

皆さんも森にいくと「空気がおいしい!」「新鮮な空気!」と感じて深呼吸をしたくなりますよね?

でもちょっと待ってください。森の中は自然そのものですから、腐敗した植物や動物の死骸なども実はたくさんあるはずです。でも空気は新鮮に保たれている・・・これこそがフィトンチッドの浄化作用によるものです。

悪臭の原因物質は森林内では浄化され臭いをほとんど感じません。

世界一の自殺の名所と言われる富士の青木ヶ原樹海では、人間の1億倍の嗅覚を持つ警察犬でも自殺者・行方不明者の捜索が困難だと言われています。

日常にも実は使われている

フィトンチッドが発見されたのは約80年前。

もちろん太古の昔から存在はしていたわけですが、歴史的にみてまだ発見間もない物質で、大昔の人たちはフィトンチッドなんてものの存在は知りませんでした。

ですが、昔の人達は「植物の不思議な力」に日常生活で気づき生活に役立てています。

例えば、生魚を運ぶのに笹の葉や柿の葉に包んだり、生肉を包むのにヒノキや杉の薄皮を使う、おにぎりを竹の皮で包む、ご飯をサワラのおひつで保存する、お寿司にショウガやワサビを添えたりするのもフィトンチッドの持つ「消臭作用・抗菌作用・抗酸化作用」を活かした知恵と言えます。

「何だかわかんないけど木を使うと食べ物が長持ちするし、臭いも消える」

・・こんな感じだったのでしょうか。

今ではビニールや紙の包装が主体ですが、今のように輸送手段や防腐技術が発達していなかった昔は今以上にフィトンチッドを生活の中に活かしていたのでしょう。

このように、植物が本来持っている身を守るための成分がフィトンチッドです。

悪臭が軽減されるのは、そもそも植物が日常に行なっていることであり、獣臭や生ゴミの臭いなど日常生活で発せられる臭いであれば植物が本来持っている効果を発揮することが期待できます。

森林浴でストレスが減少

次に紹介するのは、最近「森林浴」の効果としても注目されているストレス値の軽減についてです。言い換えれば、リラックス効果とも呼べます。

森林浴でストレスホルモンが減少

森林部と都市部における唾液中コルチゾール濃度の推移

森林浴でストレスホルモンが減少します。

コルチゾールは代表的なストレスホルモンで、ストレス時に濃度が上昇します。
図はストレスホルモンであるコルチゾール濃度を示します。実験に参加人の森林浴歩行において、森林は都市に比べストレスホルモンが減少しました。

森林歩行したすべての人の唾液中に含まれるコルチゾールという代表的なストレスホルモンが、森林浴後に減少しました。

都市部との比較実験で森林部ではストレスホルモンが減少しやすいことが証明されています。

森林浴で心理的なリラックス効果

森林浴歩行後、森林は都市と比較して「緊張」「疲労」の気分が緩和され、「活気」が高まることがわかっています。

森林浴において、森林は都市に比べ交感神経活動が低下し、ストレスが緩和されていることがわかっています。

森林浴をおこなうことで、人体にリラックス効果があると証明されています。

医療先進国であるドイツでは、森林浴が医療行為として認められています。

森林部と都市部におけるPOMSによる心理的変化


森林浴歩行後、森林は都市と比較して「緊張」「疲労」の気分が緩和され、「活気」が高まることがわかっています。

森林浴で血圧や脈拍数が減少

森林部と都市部における血圧および脈拍数の変化

収縮期血圧、拡張期血圧、脈拍数はストレスがかかると上昇します。

図は収縮期血圧および脈拍数を示します。

森林浴において、収縮期血圧および脈拍数が都市に比べて低下していることがわかります。森林の方が都市よりリラックスしている状態にあります。

森林部と都市部での比較実験で、血圧や脈拍数は、都市部に比べ森林部での方が低下する傾向にありリラックス状態を保てることが証明されています。

人は都市部にいるより森林にいる方がリラックスできます。

森林浴で交感神経活動が低下

森林部と都市部における心拍変動性(交感神経)の推移


図はストレスの指標である、交感神経の活性化を示します。

森林浴において、森林は都市に比べ交感神経活動が低下し、ストレスが緩和されていることがわかります。

いかがですか?

このように、最近の研究で森林浴の効果が立証されだしてきました。そして、その効果を生み出している物質こそがフィトンチッドだと言われています。

今後も研究が進むにつれて、フィトンチッドの持っている成分がさらに注目されていくでしょう。

次は、空気の浄化作用について説明していきます

森林浴により免疫力が上がる

森林浴により抗がんタンパク質が増加する

森林浴による抗がんタンパク質の変化

図は森林浴前と2日間の森林浴の主要な抗がんタンパク質の変化を示します。

森林浴によって、グラニュライシン・パーフォリン・グランザイムの主要な3種類の抗がんタンパク質が増加したことがわかります。

森林浴によって抗がんタンパク質が増加し、がんに対する抵抗性が高まったことがわかります。

森林浴によりNK活性が増強する

森林浴による免疫能(NK活性)の変化

図は森林浴前と2日間の森林浴のNK活性の変化を示します。

森林浴によって、ヒトのNK活性が1日で27%、2日で53%増強されたことがわかります。

森林浴によってNK活性が増強し、がんに対する抵抗性が高まったことがわかります。

資料提供
(独)森林総合研究所、宮崎良文氏・朴範鎭氏(千葉大学)、李卿氏(日本医科大学)他

森林浴によって免疫力を司る「NK細胞」の元気度(NK活性)が著しく上がることが実験によって認められ、森林浴によってがんや病気への抵抗力が高まることが証明されています。

空気をきれいにする効果

空気をきれいにするフリー画像 に対する画像結果

森の空気がすんでいる理由

休日には都会の喧騒を離れて、自然の緑を求めてハイキングなどに出かける方も多いと思います。緑あふれる森の中に入っていくと爽やかな空気が広がり空気が気持ちいいと感じるはずです。

なぜ森の空気は澄んでいるのでしょうか?

こんな実験データがあります。

東京都渋谷区の表参道を南青山方面から原宿駅に向かって移動しながら、大気汚染の原因物質で自動車の排気ガスなどに含まれるNox(窒素酸化物)の濃度を測ると原宿駅に近づくにつれて濃度が下がるそうです。なぜでしょう?

原因の1つと考えられているのが、突き当りにある「明治神宮の森」です。

明治神宮の森の中ではNox濃度は周辺道路の5分の1にも低減されます。

これは樹木自体が大気汚染物質を吸収する力と、樹木が放出する「フィトンチッド」の浄化作用にほかなりません。

大都会の汚れた空気さえも森の中では浄化されるのです。

フィトンチッドが空気を綺麗にする理由

森の樹木たちは地面に根差して生きていますので身動きが取れません。なので汚染物質から逃げることもできません。

だから樹木は空間浄化能力をもつ「フィトンチッド」を放出しています。

森の樹木は「フィトンチッド」を放出することで自らの周りの空気を強制的に浄化し、身の回りに安全な空間を作ります。

これこそが樹木が誰の力も借りずに数百年、数千年も生き続けることができる生命力の源だと言われています。

森の空気が澄んでいる理由は樹木がフィトンチッドを放出して浄化してくれているからなのですね。

  • 植物が自らの身を守るために排出しているのがフィトンチッドです。
    即ちフィトンチッドには抗菌作用があるわけです。
    また、それぞれの植物が排出したフィトンチッドは、その植物にとって有害な菌だけを選別して作用するという自然の力を備えています。

抗酸化効果

抗酸化能力とは「酸化を防ぐ力」です。

「鉄が錆びる」「物が腐る」は酸化によるものです。人体の老化現象も酸化によっておこると言われており、美容業界でも抗酸化作用は注目されています。

例えば、寿司屋のネタケースには「椹(サワラ)」の葉が、使われています。

これは腐りやすい生もの(魚)の鮮度を保つために、植物の持つ抗酸化力を活かした先人の知恵であり、近年では科学的な視点で見直され、様々な分野で役立てられています。

フィトンチッドに健康効果がある理由

フィトンチッドが何故人体に様々な効果をもたらしてくれるのでしょう?

2014年2月の日経新聞の記事では、

「旭川医大の中村教授ら研究チームの実験によると、北海道津別町の屈斜路湖周辺で森林を一時間歩いた男性の血液を採取し分析すると、森林を歩く前と比べて血液中のフィトンチッド濃度が濃くなっていることが確認された。」との記載がありました。

この結果について中村名誉教授は「森林のフィトンチッドは肺で吸収された後、血液中で濃縮されているのではないか。森林を歩くと気分が良くなる理由を知る手掛かりになる」と話しておられます。

森林を散歩するとストレスの減少や血圧の低下、免疫力の向上など様々な健康効果があることはわかってきていますが、呼吸で取り込まれたフィトンチッドが重要な役割を果たしていることは疑いようのない事実です。

何故樹木の自己防衛物質が人間にも有効であるのかは解明されてはいませんが、自分たちのことだけでなくすべての生命、地球にとって良いものを作り出す力が植物にはあるのかもしれませんね。

森林浴は三大健康浴と呼ばれるように!

森林浴は日光浴、海水浴と並んで「三大健康浴」と言われるほど日本国内では一般的に浸透してきました。

日光浴は「日光」を浴びる、海水浴は「海水」を浴びます。では、森林浴は何を浴びるの?? という方が多いですよね。

「森林浴」という言葉は日本独自の言葉ですが、当時の林野庁が「森林浴は、フィトンチッドを浴びましょう」と提唱して始まったものです。

すでにご説明した通り、フィトンチッドは、微生物の活動を抑制する作用を持ちます。樹木などが発散する化学物質で、植物が傷つけられた際に放出し、殺菌力を持つ揮発性物質のことを指します。

森林浴はこれに接して健康を維持する方法ですが、健康だけでなく癒しや安らぎを与える効果が高く、ストレスの緩和効果、血圧低下効果や免疫力をアップさせる効果なども知られているため国を挙げて推進しているわけです。

身近でできるフィトンチッド体験方法

森林浴

フィトンチッドを身近に体験する方法はいくつかあります。まずは森林浴です。

森林浴は森林や自然環境でゆっくりと散歩することで、フィトンチッドを体感する方法です。

森林の中では、樹木が放出するフィトンチッドを吸い込むことができます。深呼吸をしながら自然の中を歩くことで、リラックス効果や免疫機能の向上が期待できます。

観葉植物

室内環境でもフィトンチッドを体験することができます。

フィトンチッドを放出する植物を家やオフィスに取り入れることで、室内でも自然の香りや効果を楽しむことができます。

例えば、ユーカリやレモンバームなどの植物はフィトンチッドを豊富に含んでいます。

これらの植物を育てたり、エッセンシャルオイルやルームスプレーとして利用したりすることで、フィトンチッドの恩恵を享受できます。

フィチントッドを含む製品を使用する

フィトンチッド入りの製品も市場には存在します。

エッセンシャルオイルや入浴剤、スキンケア製品などにフィトンチッドが配合されており、これらの製品を使用することで日常生活にフィトンチッドを取り入れることができます。

【森林浴とアロマテラピー】

 森林の中をゆっくり歩き、「森林浴」を楽しんでいると、フィトンチッドを含んだ空気を胸一杯に吸うことができます。

フィトンチッドは、気温、日照、気流、植物相などによって発散量が変化しますが、森林大気中での平均濃度は40ppbといわれ、この濃度付近で人体に良い影響を与えるといわれています。

樹木の香りがする所で睡眠をとると疲労の回復が早いことや,森林大気中と同じ濃度のヒノキやトドマツ葉油の中ではマウスの運動量が増大することも実証されています。

森林浴は、ストレスを和らげ身も心もリフレッシュさせる働きがあり、精神の安定、心の活力や爽快感を与えてくれます。

このようなテルペン類の生理作用を利用し,芳香性の精油を,心身症などの病気の治療に利用するアロマテラピー(芳香療法)が盛んに行われてきています。

フィトンチッドが配合されている精油

フィトンチッドが成分は、テルペン類と呼ばれる植物が出す化学物質です。
テルペン類は特定の精油に含まれており、特に和精油には多く含まれていたりするんです!

ここでは、テルペン類を多く含む精油をご紹介していきます。

~精油に含まれるテルペン類~

α-ピネン・カンフェン・シトラール・カンファー・メントール・リモネン など

ヒノキ精油

学名Chamaecyparis obtusa
植物名(和名)ヒノキ
科名ヒノキ科
種類木本
主な産地日本、台湾など
抽出部位
抽出方法水蒸気蒸留法
特徴的な化学成分α-ピネン、γ-カジネン、カジノール類、リモネン、ボルネオール、酢酸ボルニル、酢酸テルピニル など
香りの特徴日本人に馴染み深い、森にいるようなほっとする香り
主な効能リラックス、鎮静、覚醒、抗菌、抗真菌 など

心への効果

精油の香りを嗅いだことがない方でも、フレッシュだけれど、温かみがある森の香りは想像しやすいと思います!

ヒノキ精油には、鎮静効果強壮効果があります。

不安やイライラを落ち着ける作用と前向きになりたい時にサポートしてくれる作用もあるので、
忙しい仕事や家事を終えた後のリラックスタイムにピッタリの精油です。

また、高ぶった交感神経を抑えて副交感神経の働きを高めてくれる効果もあるので、
仕事で緊張続きの方や新しい環境で不安になることが多い方にもオススメです。

体への効果

ヒノキ精油には、α-ピネンという成分が多く含まれています。

この成分は、心への効果もありますが、体への効果もあり、健康をサポートしてくれます。

血行を促進して、冷えやむくみを改善したり、胃液の分泌を促したりする効果もあります。

ただし、注意点がいくつかあります。
肌を刺激する可能性があるため、敏感肌や肌の弱い方は注意してくださいね。
また、妊娠中の方は使用を控えてください。

クスノキ精油

学名Cinnamomum camphora
植物名(和名)クスノキ
科名クスノキ科
種類木本・高木
主な産地東アジア
抽出部位
抽出方法水蒸気蒸留法
特徴的な化学成分カンファー、1,8-シネオール、リモネン、α-ピネン、ミルセン、テルピネン4オール、α-テルピネオール、サフロール など
香りの特徴スパイシーさと清涼感があるさわやかな香り
主な効能鎮静、抗炎症、血行促進、覚醒、抗菌、昆虫忌避 など

心への効果

樟脳の原料としても使われているクスノキ。
「おばあちゃん家のタンスの香り」と言えば、ツンと独特な香りが想像できますが、
クスノキ精油は、スパイシーさと清涼感があるさわやかな香りです。
このさわやかな香りは、脳や神経を刺激して、集中力をアップする働きが期待できます。

ティッシュやコットンに精油を1滴落として香りサッと嗅ぐと、勉強中に集中が続かないときや仕事でもう一踏ん張りしたいときなどに集中力を高めてくれますよ!

また、鎮静作用もあるので、日中イライラが続いてしまい、
寝付けない時や気持ちを切り替えたいときにもサポートしてくれます。

体への効果

クスノキ精油には、カンファー以外にも、鎮静作用抗炎症作用に効果的な1,8シネオールやリモネンなども含まれています。

スッキリとした香りを嗅ぐことで、呼吸器や循環器の悩みを軽減してくれます。

花粉症や風邪で鼻詰まりや咳がひどいときやぜん息の緩和にも役立ってくれますよ。

ただし、注意点があります。
クスノキ精油に含まれるカンファーはケトン類というグループでもあるので、
使用量を超えて高濃度で使用したり長時間香りを嗅いだりすると神経に悪影響を及ぼすこともあります。

使用するときは、使用量を守って短時間で使うようにしてくださいね。

ヒバ精油

学名Thujopsis dolabrata
植物名(和名)ヒバ
科名ヒノキ科
種類木本・高木
主な産地日本
抽出部位
抽出方法水蒸気蒸留法
特徴的な化学成分ツヨプセン、ヒノキチオール、β-ドラブリン、キュプレネン、セドロール など
香りの特徴ヒノキの香りに似たフレッシュな香り
主な効能鎮静、抗菌、防咳、収れん など

心への効果

好き嫌いが分かれそうなシッカリとした香りですが、心を落ち着ける作用があると言われています。

緊張続きでソワソワしてしまうときやストレスが原因で神経が興奮してしまい寝付けないときにもサポートしてくれますし、瞑想のときに香りを嗅ぐと集中できそうです。

体への効果

血行を促進する効果があるので、冬の寒さや夏のクーラーで冷えてしまった体を温めたり、むくみを改善したりすることにも効果的です。

また、抗菌・保湿作用もあるので、バスタイムのおともにすると肌を清潔に保ってくれますし、
乾燥を防いで保湿してくれる作用もあります。

ただし、肌を刺激する可能性があるため、敏感肌や肌の弱い方は注意してくださいね。
また、妊娠中・授乳中の方は使用を控えてください。

ハッカ精油

学名Mentha arvensis(Mentha canadensis)
植物名(和名)ジャパニーズ・ペパーミント、ハッカ
科名シソ科
種類多年草
主な産地日本
抽出部位全草
抽出方法水蒸気蒸留法
特徴的な化学成分l-メントール、l-メントン、イソメントン、ネオメントン、酢酸メンチル、リモネン、1,8-シネオール など
香りの特徴スーッと清涼感を感じられる香り
主な効能鎮静、覚醒、血行促進、抗菌、抗真菌、抗炎症、鎮痛 など

心への効果

スーッとした爽快感は、リフレッシュ効果が高いように思えますが、
実はメントールの効果は精神を鎮静作用があるとされ、気持ちの安定にも役立つと言われています。

人間関係でのイライラやショックなどを和らげたり、ストレスや疲労などで落ち込んだ気分をリフレッシュして気持ちを前向きにしたりする働きが期待できます。

体への効果

スーッと爽快感を感じられるメントールには、胃の消化不良や胸焼け、吐き気などを軽減したり、乗り物酔いを和らげたりする効果があります。

ついつい脂っこい食べ物を食べすぎてしまったときや飲みすぎて二日酔いになってしまったときに香りを嗅ぐと気分の悪さを軽くしてくれますよ!

また、抗菌・抗真菌作用や血管を引き締める作用もあるので、風邪やインフルエンザを予防したり、花粉症やぜん息などの呼吸気管の不調を和らげる効果も期待できると言われています。

ただし、肌を刺激する可能性があるため、敏感肌や肌の弱い方は注意してくださいね。
また、妊娠中・授乳中・お子さまへの方は使用を控えてください。

オレンジ・スイート精油

学名Citrus sinensis
植物名(和名)オレンジ・スイート
科名ミカン科
種類木本・高木
主な産地インド・中国
抽出部位果皮
抽出方法圧搾法
特徴的な化学成分リモネン・オクタナール・デカナール・リナロール・シトラール など
香りの特徴やわらかく甘い柑橘系の香り
主な効能抗うつ、抗菌、血行促進、抗炎症 など

心への効果

甘い柑橘系の香りは、オクタナールとデカナールという成分のおかげなんです。
これらには、鎮静・抗菌・強壮作用があります。

仕事や人間関係でのイライラや不安な気持ちを落ち着けてくれる一方で、気持ちを前向きにする手助けをしてくれます。

また、フィトンチッドが含まれている、リモネンにも交感神経を刺激して落ち込んだ気持ちを明るく活性化させてくれる働きがあると言われています。

体への効果

胃の消化を促す作用や整腸する作用があり、夏バテで胃腸の調子が悪いときや便秘の解消にもオススメです!

血行を促進する作用もあるので、バスタイムのときに使えば、冷えや体のむくみを軽減したり、肌のくすみを解消したりする働きもありますよ〜!

ただし、シトラス系の精油は劣化しやすいので、開封したら早めに使用してくださいね。
妊娠中の方やお子さまでも使うことができますが、低濃度で使用してください。
また、敏感肌の方やアレルギー体質の方は、少量で試してから使ってください。

  • ハーバルライフ オレンジスイート精油

4.オススメのブレンド

バスタイムのおともに<ヒノキ+オレンジ・スイート>

ヒノキ精油とオレンジ・スイート精油には、鎮静と強壮効果があります。



仕事や家事などでイライラしたり、緊張つづきで不安や疲労がつのったりしたとき、
気持ちを落ち着けて前向きにするサポートをしてくれます。



仕事や家事終わりの、バスタイムに使うことでホッと一息つくことができますよ!

また、ヒノキ精油には血行を促進する効果もあるので、冷え性の方や

毎日のデスクワークが原因でむくんでしまう方の症状の軽減にもオススメです!


~バスソルトのレシピ~

材料(1回分)

・ヒノキ精油… 2滴

・オレンジ・スイート精油…3滴

・天然塩 … 大さじ2〜3杯



道具
・計量スプーン
・材料を混ぜ合わせるための容器



作り方

  1. 容器に天然塩を入れてから、精油を加えてよく混ぜ合わせる
  2. 入浴直前に、浴槽にバスソルトを入れよくかき混ぜてから入浴して下さい!

保存について

保管せず使い切って下さい。

お部屋のイヤな香りを和らげるリードディフューザー<クスノキ+ユーカリ>

シャープな香りの楠と甘味のある爽やかなユーカリの香りが、頭をすっきりさせてリフレッシュできます。



勉強や仕事で集中力が必要なときの切り替えにも効果的!



また、抗炎症効果もあるので、風邪や気管支炎による鼻詰まりを緩和したり、筋肉痛や肩こりなどの痛みを和らたりしてラクにしてくれますよ!

~リードディフューザーのレシピ~

材料(1回分)

・クスノキ精油…150滴
・ユーカリ精油…50滴
・無水エタノール…100ml

道具

・ガラス瓶…100ml用
・リードスティック(or竹串)

作り方

  1. 無水エタノールをガラス瓶に入れる
  2. 精油を加えて混ぜる
  3. リードを刺して完成!

保存について

濃い濃度の精油は、プラスチックの材質を溶かしてしまうこともあるためです。
使用するビーカーは、ガラス製をオススメします。

お好きな瓶や精油で作るリードディフューザーです。



今回は、100mlの瓶で紹介していますが、無水エタノールと精油の分量は、10:1を目安に
使用する瓶の大きさで分量を変えてくださいね。


一般的に精油の1滴は0.05mlなので、10mlの精油が必要なときは200滴垂らします。



また、瓶を選ぶときに、口が狭いものを選ぶと蒸発がゆっくりになり、長持ちしますよ。


枕にシュッとスプレーしてリラックス!<ヒバ+ラベンダー>

ヒバのフレッシュで優しい木の香りと親しみやすく人気なラベンダーの香りは、鎮静効果があるコンビです。



仕事で緊張が続いたり、職場や学校などで不安なことが多かったりして、夜なかなか寝付けない方にオススメで、


緊張や不安な気持ちを落ち着けてぐっすり眠るサポートをしてくれますよ♪


~ピロースプレーのレシピ~

材料
・ヒバ精油…2滴
・ラベンダー精油…4滴
・無水エタノール…5ml
・精製水…25ml

道具
・ビーカー
・マドラー
・スプレーボトル
・ラベル

作り方

  1. ビーカーに無水エタノールを入れて、精油を加えて混ぜる。
  2. スプレーボトルに、1と精製水を入れてふり混ぜる
  3. ラベルに日にちを書いて貼り完成!

保存について

直射日光を避けて保管してください。
10日以内に使い切ってくださいね。

気分転換できるルームスプレー<ハッカ+レモン>

スーッと爽快感があるハッカ油と爽やかな印象のレモン精油ですが、

ハッカ油には鎮静効果もありますし、レモン精油は中枢神経を刺激して集中力をアップしてくれます。



高ぶった気持ちを落ち着けてリラックスできる一方で、リフレッシュすることもできるので、

お部屋で勉強に集中したい方や仕事でもうひと頑張りしたい方にオススメです!

~ルームスプレーのレシピ~

材料
・ハッカ精油…8滴
・レモン精油…12滴
・無水エタノール…10ml
・精製水…90ml

道具
・ビーカー
・マドラー
・スプレーボトル
・ラベル

作り方

  1. ビーカーに無水エタノールを入れて、精油を加えて混ぜる。
  2. スプレーボトルに、1と精製水を入れてふり混ぜる
  3. ラベルに日にちを書いて貼り完成!

保存について

直射日光を避けて保管してください。
10日以内に使い切ってくださいね。

おわりに

なかなか森や山にいけない方でも、お部屋でお手軽に森林浴をできる方法をお伝えしました!

これを香りだけでなくて、是非自然音を聴きながら、目をつぶって試してみてください。
自然音はシータ波と言ってリラックスできる脳波が出ますし、五感でより楽しめます!

おうちでの森林浴、ぜひ試してみてくださいね。

フィトンチッドを日常生活に取り入れる方法

フィトンチッド入り製品を活用する

フィトンチッドを日常生活に取り入れるためには、いくつかの方法があります。まずはフィトンチッド入りの製品を活用することです。

市販されているフィトンチッド入りのエッセンシャルオイルやルームスプレーを使って、自宅やオフィスの空間をフィトンチッドの香りで満たすことができます。

入浴剤やスキンケア製品にもフィトンチッドが含まれているものを選ぶことで、入浴やスキンケアの際にフィトンチッドの効果を享受することができます。

さらに、自然の中での過ごし方に工夫を加えることも大切です。

公園や庭に行ってリラックスタイムを過ごすことで、自然の中のフィトンチッドを感じることができます。ゆったりとした時間を過ごし、自然の中で深呼吸をすることでフィトンチッドの恩恵を受けることができます。

また、ヨガやマインドフルネス瞑想などの活動を自然の中で行うこともおすすめです。自然の中で心身をリラックスさせることで、フィトンチッドの効果を最大限に引き出すことができます。

木材の家屋、家具を取り入れる

木材から発散するフィトンチッドに囲まれた健康住宅で暮らし、樹木から抽出したエッセンシャルオイルをアロマポットで焚き、心の安らぐひと時を室内で過ごすのはいかがでしょうか。

シックハウス症状の起こらない生活空間が、私たちの生活を健康で豊かなものにしてくれると思います。

「総ヒバ造りの家には三年間は蚊が入らない」とよく言われますし、家を建てる時にこうした「ヒバ」「ヒノキ」「スギ」などの木材を使うのは、木が放出するフィトンチッドに白アリ・ダニ・蚊・カビなどを寄せ付けない働きがあるからです。

楠(くすのき)のタンスには防虫効果がありますし、柏餅の葉にも抗菌作用があります。

なにより、木の香りは私たちの心身をリラックスさせる効果もあり、癒やされた気持ちは誰もが体験したことがあるのではないでしょうか。

フィトンチッドが身体に良いことが生理的、心理的側面から科学的に明らかにされ、臨床応用や院内感染対策などの医療現場でのも活用され、建材や空調への応用など幅広い展開が期待されています。

しかし あくまでも特効薬・万能薬ではないのでご注意ください。

フィトンチッドは化学物質

化学物質過敏症などの方は木材が苦手な方もいらっしゃいます。

木材フリー画像 に対する画像結果

「フィトンチッド」は植物が身を守るための成分ですが、それが一般的な人間には良い効果をもたらすことが分かっています。

主に、リラックス効果や癒やし効果が有名ですがまれに、身体に合わない方もいらっしゃいます。

フィトンチッドの効果は木材からの化学物質によるものです。

ですので、そうしたものに反応してしまう方も当然ながらいらっしゃいます。

なので、フィトンチッドは万人が受け入れられるとは限りませんので、香りのきつい木材を多用する場合には念のため、サンプル試験をすることをおすすめします。

心地よい香りだとしても身体が受け付けないこともありますので注意が必要です。

木材は視覚的な癒やし効果もありますので床や天井などのワンポイントでも住宅に取り入れることがオススメです

まとめ

フィトンチッドは、植物が自然の防御メカニズムとして放出する揮発性の有機化合物です。海外の研究によると、フィトンチッドには免疫機能の向上やストレス軽減といった健康への効果があります。

フィトンチッドを体験するためには、森林浴や室内環境での植物の活用が有効です。自然の中での散歩や深呼吸を通じてフィトンチッドを感じることができます。また、フィトンチッド入りの製品を利用したり、自然の中でリラックスすることでフィトンチッドを日常生活に取り入れることができます。

フィトンチッドは自然からの贈り物であり、私たちの健康と癒しに貢献してくれる存在です。ぜひ、フィトンチッドを活用して心地よい健康を手に入れましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

皆様の健幸ライフを心よりお祈りしております。

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